私は25歳のとき、自宅用の1LDKマンションを都内に購入しました。
これが後に不動産投資を始めるきっかけのエピソードになるのですが、
失敗はしていませんが、
なにせ“いわく付き”物件だったので、今振り返るとヒヤヒヤものだったなと思います。
今回は、そんな20代だった社畜サラリーマンが、
・なぜ“いわく付き”物件の購入に至ったのか?
・実際に購入してどうだったのか?
・無事に売却できたのか?!
について体験談をお話しします。
なぜ25歳でマンション購入?
会社の福利厚生が薄い、家賃もったいない
自己紹介の記事でもお話しした通り、
当時勤めていた外資系企業は福利厚生がペラッペラで、なんだか家賃がもったいないと感じ始めていました。
「お金」への意識は高かったので、何とか家賃をお得にできないかと考え、マンション購入について調べ始めたのがきっかけです。
思い返せば、新卒で今の会社に入らなくて良かったです。
今の会社は福利厚生が手厚く、家賃補助もかなり高水準といえますので、当時から今の会社に勤めていたらマンションは購入していなかったでしょう。
このマンション購入が後々の不動産投資、ひいては「投資」そのものの考え方、経験、方向性に繋がる第一歩だったので、ペラッペラの福利厚生だった前職に感謝です。
購入した方がお得
良く世間でも「賃貸は家賃がもったいない、購入した方が家が資産になるし得だよ!」と言われていますが、
私はまず、この「家賃がもったいない」というのが本当なのか?という検証から始めました。
果たして本当に賃貸の方が支出が多く、購入するよりも損なことなのか?
この場合の支出とは、いわゆる「ドブに捨てるお金」に焦点を当てました。
【当時住んでいた1Rアパートの支出】
家賃が月額で約6万円、年間にすると72万円で、
+その他更新料等を加味し、年間に均すと約75万円でした。
【マンションを購入した場合の支出】
登記・売買時の仲介手数料等の諸経費、登録免許税や固定資産税等の税金、住宅ローンの利息分と想定しました。
ここから逆算すると、およそ1500万円-2000万円程度のマンションであれば、
上記1Rアパートと同じ支出(=「ドブに捨てるお金」)になることが分かりました。
つまり私の場合は、1500万円-2000万円という価格帯のマンションを購入すれば、1R賃貸アパートに住み続けることが「もったいない」と言えます。
そしてその価格帯の物件を調べたところ、
当時住んでいた1Rアパートよりも広くて、新しくて、それなりに立派なマンションが買えることが判明しました。
つまり同じ金額で広く、新しく、立派なマンションに住めるうえに資産として売却することもできる、という当時の25歳の私としては「目から鱗が落ちる」思いでした。
どんなマンションを購入?
マンションの条件
当時は2013年頃で、アベノミクスが騒がれだしたタイミングでした。
株価も8000円から12000円くらいに大暴騰(2022年現在ではかなり低いですが、当時は信じられないくらいの大暴騰)していた一方で、
不動産市況としてはまだまだリーマンショックを抜け切れていないといった感じで、金利も低く、不動産価格も今と比べると相当割安だったと思います。
1500万円-2000万円あたりで調べると、1LDK、築10年以内、マンション、23区内、駅徒歩10分以内、という条件でそれなりの件数がヒットしました。
その中でもひときわ条件の良い物件が一つだけありました。
-1LDK (40㎡超)
-築5年
-駅徒歩7分 (複数路線駅(メトロ、JR))
-台東区
-マンション(10階中7階)
-1710万円
これは、2022年現在は当然のこと、当時でも考えられないくらい輝かしいスペックの物件でした。
輝かしいマンションスペックの理由・・
ここまで聞いて、土地勘のある方や東京の不動産に詳しい方はお気づきかもしれませんが、
そうです、、、、
ここ、、、、
東京都台東区清川、日本最大のスラム街と呼び声の高い山谷地区で有名な、いわゆるドヤ街だったのです。汗
ネットで調べれば調べるほどとてもじゃないけど住めそうな雰囲気はなく、治安は最悪であることが分かりました。
- 路上でお〇っこ、う〇こは当たり前
- 路上で寝てる叔父様、多数
- 路上で血を流している叔父様も、たまーに
- この地区にある交番はマンモス交番と呼ばれ、警察署並みの規模
こんな記事がゴロゴロと出てきたのです。
ただ中には「最近は変わってきたよ、良くなってきているよ」という記事も散見され、百聞は一見に如かずの思いで、一応直接散策することにしました。
事前に調べてしまっていたばかりに、心臓バクバクの中、最寄り駅を降り所在地の指し示す方へと歩いていきました。
いつ怖い人が現れるか、何かあったらどうしよう、、
でも交番は近いだろうから走ればなんとかなるか・・!?
など色々考えながら歩くこと数分、所在地にたどり着いてしまいました。
「あれ、どこが日本最大のスラム街なんだ?」
「確かに若干下町感はあったものの、別に何も言われなければ何も違和感ないぞ。。。」
と思い、その場ですぐスマホを取り出して不動産仲介業者に電話し、購入する運びとなりました。
今振り返ってみると投資の観点では確かにリスクの大きい物件でしたが、
自宅用のつもりだったので、自分さえよければOK!という風に割り切れたことが結果的に良かったのだと思います。
いざ住んでみたら・・(汗)
そんなこんなで住み始めましたが、家自体はすごくよかったです。
周辺にもスーパーやコンビニ、ファストフードや定食屋もあって、環境もホントとてもよかったです。
ただ1点・・・・やはりと言うべきか・・
特に朝と夜・・・・・
いわゆるご自宅のない方、あるいは酔っぱらった叔父様の数がめちゃめちゃ多かったです。。
とはいえ再開発も進んでおり、駅の周辺には駅ビルやショッピングモールも建ち並び、また私が購入したようなマンションもいくつか周りに建っていました。
そして昼間はあまり見かけないので内覧時にも気づけなかったのですが、
夜には酒瓶を片手に持った叔父様が道端で寝ていたり、
朝はそういう叔父様同士が喧嘩していたり、
近寄ると匂いが少々キツかったり、、
と、なかなか見ない世界観でびっくりしましたこともありました。
危害を加えられるような危険性は一切感じないものの、噂通り、治安が良いとは言えない感じがあります。
とはいえある程度覚悟はしていましたし、実際に何か被害があるわけでもなく、私としては気に入っていました。
当時付き合っていた妻も、当初は私の家に来るのを怖がっていましたが、何回か来るうちに完全に慣れていました。笑
無事に売却できるのか?!
“いわく付き”物件なのに!?
そんな“いわく付き”マンションに住んで3年半ほど経った頃、
不動産投資を始めようと考え、その元手を作るために売却することを考え始めました。
なぜ不動産投資を始めようと考えたのかについては、自己紹介記事でも少しお話させて頂いていますし、今後の記事でも詳細に触れていきたいと思いますのでそちらをご覧頂ければと思います。
なにせ“いわく付き”なので、果たしていくらで売れるのか・・・とドキドキしたものですが、
見積もりを何社かにお願いしたところ、
おおよその相場は「1700万円-2200万円」程と言われたため、
まずは2200万円で売りに出すことにしました。
追い風:不動産市場の値上がり
その頃は株価もさらに上がっており、不動産市況も活況真っ盛りでした。
ですので、当初購入した物件価格1710万円を超える金額で売却できることはある程度想定していました。
ですが、この物件の特異性がどこまで相場から外れるのか、そこが肝でした。
外れなければ、2200万円で売れるのではないかと考えていました。
【結果】売却額
初期提示額は2200万円で出したものの、やはりなかなか買い手が現れず結果的には2030万円で売れました。
とはいえ、あのマンションという事を考えると、大健闘だったと思います。
ここで、最終的な損益について記載します。
- 購入額:1710万円
- 売却額:2030万円
この数字だけ見るとまるで320万円得したかに見えますが、実際は違います。
冒頭にも記載した通り、購入する場合は税金や諸経費、ローン利息などいわゆる「ドブに捨てるお金」があります。
それらをすべて差し引くと、偶然にも購入額と売却額がほぼ「トントン」という結果になりました。
では、買った意味はなかったのか?とうと、それは全く違います。
「色々経験できた!」という勉強代で済ますつもりもありません。
この「トントン」の意味は、結果的にこのマンションに住んだ3年半の間、住居費が結果的に「0円」だったということです!
もし仮にあのまま、6万円の1Rボロ賃貸アパートに住み続けていたら、
75万円(年間住居費)×3.5(年)=265.5万円
或いはもし、このマンションと同等スペックの賃貸マンションに引っ越して住んでいたら、
12万円(想定家賃(更新料等含))×12(か月)×3.5(年)=504万円
これらの金額分を『3年半で得した』という事になります。
まとめ:マンション購入してよかったこと
この自宅用マンションの購入と売却を通して、実にたくさんのことを学びました。
- 不動産購入、売却の手続き一連
- 不動産における税金や諸経費等のお金回りの仕組み
- 仲介業者や各種ステークホルダーとの交渉等のビジネススキル
- リスク/リターンの仕組み(投資の基礎を実践で学べた)
※実態は投資ではなかったものの、何かに対してお金を投入し最終的にお金に戻す、という経験
- 大きなお金、時間を掛ける場合の事前計算、検証、シミュレーションの重要性
- 日本最大のスラム街に住んでいたというネタ(笑)
この経験を通して実際に不動産「投資」にチャレンジすることになり、今度はFIREを目指すに至っています。
いきなり不動産投資やFIREを目指すことも当然悪いことではないと思いますし、
そういう方が多いとも思いますが、
一つ重要なことは「なんでもスモールスタートでまずはやってみること」なのではないかと思います。
株式投資であれば今は少額からでも買えますし、積み立てNISA等制度を利用することもいいと思います。
あれこれ考えていないで、まずはやってみる。
これは何も考えずに金を投入するという意味ではなく、手と体を動かす、つまり本屋に行って勉強する、エクセルを使って投資の試算をしてみる、などです。
これがこの自宅用不動産購入、売却を通して学んだ一番大きい資産かもしれません。
夫@社畜夫婦
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